勝てる選挙デザイン
  • トップ
  • 記事一覧
  • 選挙予想
  • トップ
  • 記事一覧
  • 選挙予想
  • ホーム
  • 記事一覧
  • 次期総裁の金融・経済政策に対する市場の評価とリスクシナリオ(円相場、日経平均、財政規律)
総裁選
ポスト石破
円相場
日経平均
経済政策
財政規律
金融市場

次期総裁の金融・経済政策に対する市場の評価とリスクシナリオ(円相場、日経平均、財政規律)

次期総裁の金融・経済政策に対する市場の評価とリスクシナリオ(円相場、日経平均、財政規律)

記事の内容

市場が注目する総裁選の行方

石破首相の退陣表明直後、金融市場は敏感に反応しました。9月8日の為替市場では円相場が急落し、日本国債の超長期金利が過去最高水準まで上昇しています。これは政局不透明化そのものへの嫌気に加え、有力後継候補の政策スタンスが大きく異なることへの思惑が作用した結果です。中でも市場が警戒したのは「財政出動に前向きな次期リーダー誕生」の可能性です。具体的には高市早苗氏のような財政拡張派(金融緩和継続派)が総理になるシナリオです。ロイター報道によれば、高市氏は日銀の利上げに反対し大胆な歳出で景気を下支えすべきとの立場であり、市場では「財政ハト派の高市氏が有力」との観測が円売り・債券売りを誘いました。一方、小泉進次郎氏は構造改革寄りと目され、規制緩和や歳出見直しによる経済活性化を掲げるタイプです。ブルームバーグの分析でも「高市氏は財政拡張主義で金融緩和継続、小泉氏は構造改革志向で党の刷新を図る」という全く異なるビジョンを示していると指摘されています。そのため総裁選は市場にとっても路線選択を問うイベントとなっており、高市路線になれば再びアベノミクス的な緩和・財政刺激へ、逆に小泉路線ならある程度の構造調整路線へと舵が切られるとの見方です。

円相場と金利のリスクシナリオ

もし高市政権が誕生した場合、まず想定されるのはさらなる円安進行と長期金利の高騰です。市場では既に「日本が再び金融緩和と財政拡大に回帰すれば、円安と金利上昇につながる」との警鐘が鳴らされています。実際、高市氏が総裁選に向け示唆している政策は、防衛や成長投資分野で国債増発を躊躇しない積極財政と、インフレ率が安定するまでゼロ金利を維持する金融緩和路線です。彼女は昨年の総裁選で「今金利を上げるのはアホだと思う」とまで発言しており、この姿勢が続くならば日本銀行の利上げは遠のくでしょう。9月時点で市場の金利先高観も修正されており、「政治空白で日銀の引き締め開始が遅れる」との見通しが台頭しています。具体的には、無風なら年内に利上げとの予想があったものが、高市リスクを織り込んで「10月利上げの確率は20%程度(1週間前は46%)」まで低下しています。しかし金融緩和長期化は副作用として円安圧力となり、9月上旬に早くも1ドル=155円台への下落が観測されました(2015年以来の円安水準)。円安は輸入インフレを再燃させかねず、石油や食料価格の高騰による生活への影響が懸念されます。また長期金利については、財政悪化観測から国債の売り浴びせが起きるリスクがあります。実際、超長期の40年物国債利回りは石破退陣後に過去最高の2.3%台に急騰しました。高市氏の政策にマーケットが懐疑的な姿勢を強めれば、「日本売り」で金利高騰・円急落のツインリスクが現実化する恐れもあります。

一方で小泉政権となった場合、市場の反応はやや複雑です。小泉氏は父譲りの改革マインドを持つとされ、郵政民営化に匹敵する規制改革を志向するならば、中長期的には日本経済の潜在成長力が高まる可能性があります。例えば雇用制度改革(解雇規制緩和など)や農業分野の構造改革に踏み込めば、海外投資家から「日本株買い材料」と受け止められるでしょう。実際、日経平均株価は石破退陣と総裁選報道を受けてバブル後最高値の4万4000円台を記録しています。この株高の背景には、「若い指導者の下で改革政党として再建を図る」(小泉路線)への期待感が下支えしているとの指摘があります。ただ、小泉氏が打ち出すであろう痛みを伴う改革は短期的に見れば企業や既得権層に負担を強いるため、一部産業の業績悪化や雇用不安を招くリスクもあります。例えば農業改革でコメ価格を引き下げれば農家所得は減り、農村地域経済が落ち込む懸念があります。雇用の流動化策は労働者の反発や消費マインド低下をもたらすかもしれません。また小泉氏は環境・脱炭素にも関心が高く、場合によっては炭素税導入など企業コストを増やす政策を進める可能性もゼロではありません。市場は当初「若さ」「刷新」を好感して株高・円高に振れるかもしれませんが、その政策内容次第でボラティリティが高まるでしょう。小泉氏自身が財政規律について明確なスタンスを示していない点も不確実性要因です。父・純一郎氏は在任中プライマリーバランス黒字化目標を掲げ緊縮寄りでしたが、進次郎氏が同様の路線を取るかは未知数です。仮に彼が「大胆な財政再建」を唱えた場合、一時的に金利低下・円高に振れる可能性があります。しかし現下の景気下押し圧力を考えれば急激な緊縮は困難であり、結局は中途半端な財政運営に陥るリスクもあります。

財政規律と国債市場

いずれにせよ、総裁選後の新政権が直面する最大の経済課題は財政健全性と持続的成長の両立です。日本の政府債務残高はGDP比で250%を超え、先進国で最悪の水準にあります。市場も長期的には日本財政の持続可能性に警戒を強めており、総裁選の結果次第では国債市場の変動が予想されます。「財政拡張継続なら債券市場は織り込み済みリスクをさらに織り込む」(木村エコノミスト)との指摘もあり、例えば高市総理誕生なら国債格付けの引き下げ検討が海外格付け会社で議論される可能性があります(過去に類例あり)。金利高は政府の利払い負担を増やし、財政悪化→金利上昇→財政悪化の悪循環リスクも孕みます。逆に緊縮に振れすぎれば景気悪化で税収減となり、こちらも財政悪化要因となり得ます。したがって市場は新総裁の経済運営バランスを注視しています。現在のところ、ブルームバーグエコノミクスは「高市氏ならアベノミクス回帰で債券市場がネガティブに反応、小泉氏なら規制改革期待で株式市場がポジティブに反応」との見通しを示しました。株式市場は短期的に政策期待で上下しやすい半面、為替・債券市場は財政金融の長期方針に敏感です。9月時点で「総裁選で政策不確実性が続く中、利上げ開始時期予想を後ろ倒しにするエコノミストも出始めている」と報じられており、これは総裁選結果が出るまで市場関係者が慎重姿勢を取っている表れです。

まとめると、新総裁の経済政策に対する市場評価は二面性を持ちます。一方では「大胆な政策転換」が求心力を生み日本経済を動かす起爆剤になる可能性があり、他方では「行き過ぎた路線」は円と金利に甚大な副作用を及ぼすリスクがあるということです。財政規律を無視したバラマキも、過度な緊縮も、どちらも市場は嫌気します。現実には高市・小泉両氏の争いが軸と見られますが、どちらが勝っても議会運営上は中庸策を余儀なくされるとの見方もあります。少数与党ゆえ野党の協力が必要なため、極端な政策は修正されるだろうというものです。実際、決選投票で勝利した総裁が現実路線に舵を切れば、マーケットも落ち着きを取り戻すでしょう。しかし総裁選期間中は各候補が競って大胆公約を打ち出すため、当面は円相場・金利の変動リスクに警戒が必要です。マーケット参加者は「誰が勝つか」以上に「勝者が現実的な財政金融運営をできるか」を見極めようとしており、総裁選後の経済政策運営こそが日本市場の安定を決めるといえます。

関連記事

  • 野党・連立政党(特に公明党と維新)の再編・連携戦略と自民党とのパワーバランス変化
  • 「ポスト石破」候補者別のメディア報道傾向とパブリックイメージ比較

2025年自民党総裁選を巡る情勢分析に戻る

記事の内容

記事一覧
  • トップ
  • 記事一覧
  • 選挙予想
©2025 Copyright SINTHIA Co.,Ltd. All Rights Reserved.