参院選2025 北海道 選挙予想(予想日:2025年7月10日)
2025年参院選・北海道選挙区の情勢を、候補者や政党の動向をもとに詳しく予測します。
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北海道選挙区の情勢概要
参院選2025北海道選挙区(改選数3)では、与野党それぞれ複数の有力候補が立候補し、3議席目を巡って激しい競争が繰り広げられています。公示時点で現職3人、新人9人の合計12名が立候補し、主要政党に加えて新興政党からも候補が乱立する構図です。序盤情勢の調査では、自民党現職の高橋はるみ氏(元北海道知事)と立憲民主党現職の勝部賢志氏(元道議)が一歩リードし、残る1議席をめぐり自民党2人目の現職岩本剛人氏、新興保守政党の参政党新人田中義人氏、国民民主党新人の鈴木雅貴氏の3名が接戦となっています。共産党新人の宮内しおり氏やれいわ新選組新人の野村パターソン和孝氏、日本維新の会新人のオカダ美輪子氏などその他の候補は支持が伸び悩んでおり、NHK党や諸派(「チームみらい」「日本改革党」)の新人候補は極めて厳しい戦いと見られます。
投開票日まで残りわずかとなる中で、有権者の約4割は投票先をまだ決めておらず情勢が変わる可能性も十分あります。主要候補の陣営は最後まで支持固めと浮動票の獲得に奔走しており、各党の動向や候補者の訴えが終盤戦の行方を左右しそうです。
有力候補の勢力と支持基盤
自民党:高橋はるみ氏・岩本剛人氏(現職)
北海道選挙区では自民党が2議席独占を狙い、知名度抜群の高橋はるみ氏と現職2期目を目指す岩本剛人氏の2名を擁立しています。高橋氏は2003年から4期16年にわたり北海道知事を務めた実績と知名度が最大の武器であり、序盤から優位に戦いを進めています。情勢調査でも高橋氏は自民支持層の約6割を固め、公明党支持層にも浸透するなど盤石の態勢です。実際、街頭演説では知事時代からの知名度ゆえ聴衆から「テレビで見るより若い」「本物だ」と声が上がるほどで、その存在感が際立っています。高橋氏自身も「道民への恩返しの旅」と位置付けて全道を遊説し、支持者との結びつきを再確認する積極的な選挙戦を展開しています。
一方、自民党2人目の岩本剛人氏は高橋氏ほどの知名度はなく、党内からも「課題は知名度の低さ」と指摘される状況です。序盤調査では岩本氏は自民支持層の3割程度しか支持をまとめられておらず、無党派層での支持も伸び悩んでいます。高橋氏に支持が集中する分、岩本氏の得票上積みに苦戦している構図で、自民党が目標とする「2議席死守」は至難の業との見方もあります。
党道連はこの危機感から、麻生太郎氏など話題性のある大物応援弁士を投入し、岩本氏の知名度不足を補う作戦です。実際に選挙中盤、麻生氏が北海道入りして「勝つと言われたところが負けることもある。逆に厳しいと言われた候補が勝つのが最近の傾向だ」と檄を飛ばし、支持拡大を図りました。
自民党組織票の配分(いわゆる「票割り」)もカギで、高橋氏に偏りすぎた支持をどこまで岩本氏に振り向けられるかが2人当選の成否を握っています。ただし、高橋氏・岩本氏両陣営とも公明党支持層の協力は得ており、組織面の強みは依然健在です。
立憲民主党:勝部賢志氏(現職)
立憲民主党は現職の勝部賢志氏が2期目を目指し、事実上野党統一候補のような形で臨んでいます。勝部氏は北海道石狩市・江別市選出の元道議で、地元基盤と知名度は一定あるものの、4年前の2019年参院選では初当選ながら得票数は約52万票でトップの高橋氏(約82万票)に大きく差を付けられました。
しかし今回は立憲民主党支持層の6割以上をほぼ固め、無党派層の3割弱からも支持を得ており、序盤から優勢との調査結果が出ています。
HBCの情勢分析でも勝部氏は他候補より一歩リードしていると報じられました。勝部氏は連合北海道など労組組織からの支援も受けており、組織戦で一定のアドバンテージがあります。
また今回、同じ野党系の国民民主党や共産党とは候補者調整ができず乱立状態ですが、「立憲王国」と呼ばれた往年の勢いを取り戻すべく無党派層にも幅広く訴えています。
勝部氏の訴える主な政策は物価高対策としての消費税減税で、食料品の税率を8%に引き下げる「消費減税」を掲げています。増収となった税金を国民に還元すべきだと演説で強調し、有権者の生活不安に応える姿勢を示しています。
北海道は物価高やエネルギー価格高騰の影響が深刻であるだけに、この訴えは一定の共感を呼んでいる模様です。さらに勝部氏は自身が石狩管内出身ということもあり、公示後はゆかりの地を精力的に遊説して地域票の掘り起こしに努めています。
2019年・2022年と続いた野党勢力の議席減少を食い止めるべく、立憲としてはこの勝部氏の議席死守が絶対条件です。2019年は立憲(当時の民進系)と国民民主が分裂した影響で、かつて「民主王国」と言われた北海道でも野党の議席が減る結果となりました。
今回も野党系候補の乱立はあるものの、勝部氏個人の地道な支持固めと立憲支持層の結束で他候補をリードしており、現時点では当選圏内と目されています。
国民民主党:鈴木雅貴氏(新人)
国民民主党からは新人の鈴木雅貴氏(33歳)が立候補しています。鈴木氏は今回が初の選挙挑戦で知名度は高くありませんが、連合傘下の労組など国民民主党の組織票や支持層の8割以上をまとめており、公示直後の情勢では「当落線上の厳しい戦い」ながらも3議席目争いに食い込んでいるとされています。
実際、序盤調査で鈴木氏は国民民主支持層の約80%を固め、無党派層の2割弱にもアピールできています。立憲の勝部氏に流れなかった中道層や、与党には批判的だが立憲・共産には距離を置く層の受け皿となっているようです。
鈴木氏は札幌市出身で、若さと行動力を前面にSNS発信を積極的に活用する選挙戦を展開しています。Twitter(現X)やYouTubeで日々政策や活動を発信し、有権者からのメッセージに自ら返信するなど双方向のコミュニケーションにも努めているといいます。
選挙戦序盤には「当落線上の厳しい戦いをしている」と自ら危機感を訴え、少しでも支持を広げようと街頭でもSNSでも地道に知名度向上に取り組んでいます。こうした草の根の努力が奏功し、若年層や無党派層から徐々に支持を広げつつある模様です。
国民民主党は旧民主党系ながら立憲と袂を分かった経緯があり、北海道でも支持基盤は立憲と競合します。前回2019年参院選では旧国民民主党公認候補(原谷奈々氏)が約22万7千票を獲得しました。
今回の鈴木氏も同程度の票を獲得する潜在力はありますが、立憲の勝部氏との住み分けを図りつつどこまで票を伸ばせるかが焦点です。日刊ゲンダイの情勢分析では「立憲と国民は組織戦で住み分け、自民2人当選は至難」とされ、自民2枠目(岩本氏)を阻止して野党勢力として2議席確保(勝部氏と鈴木氏当選)となる可能性も指摘されています。
鈴木氏陣営としては、「高橋・勝部両氏に次ぐ3位以内」に滑り込む逆転勝利を狙い、最後まで支持固めに全力を挙げています。
新興勢力・その他の候補:参政党・維新・共産・れいわ・諸派
今回の北海道選挙区は主要政党以外にも新興勢力の候補が乱立し、多様な争点が飛び交っています。中でも注目は参政党新人の田中義人氏(53歳)です。参政党は2022年の参院選比例で議席を得た保守系の新興政党で、北海道での組織基盤は強くないもののコアな支持層を抱えています。
田中氏は参政党支持層の9割超をまとめていると序盤調査で報じられ、熱心な支持者が支える形で岩本氏や鈴木氏と“三つ巴”の激戦を繰り広げています。
参政党の主張するワクチン政策や食料自給などの訴えが一部有権者に響いており、田中氏個人の知名度は高くないながらも侮れない票を獲得しそうです。ただ無党派層への浸透は弱く、支持の裾野拡大に苦戦している状況で、現時点では当選圏には届いていないとの分析が大勢です。
日本維新の会から立候補したオカダ美輪子氏(45歳)も新顔です。維新は全国的に支持率を伸ばしている政党ですが、北海道では従来地盤が薄く、オカダ氏も苦戦しています。序盤の各社調査でも、維新のオカダ氏は他の有力候補に水をあけられており、支持が広がっていません。維新支持層や改革志向の無党派層をどれだけ取り込めるかが課題ですが、現状では3議席に食い込む勢いは見られず、当選圏外との見方が強まっています。
日本共産党の宮内しおり氏(33歳)は党公認候補として堅実に支持固めを図っています。前回2019年の共産党候補(畠山和也氏)は約26.5万票を獲得しましたが、今回も共産党の固定票を中心に20万票前後を獲得する可能性があります。しかし他党候補に比べると支持拡大は限定的で、序盤調査でも「支持が伸び悩んでいる」グループに入っており、議席獲得は難しい情勢です。
宮内氏は道内各地で演説会を開き「大軍拡よりも暮らしにお金を」と訴えるなど共産党らしい主張を展開していますが、野党票の集中が勝部氏に向かう中で埋没気味なのが現状です。
れいわ新選組公認の野村パターソン和孝氏(40歳)は、旭川市生まれの日本人と外国人のハーフでユニークな経歴を持つ新人候補です。自身も「野村パターソン姓は世界に4人しかいない」と語る個性派で、山本太郎代表のもと次世代に危機感を訴えるとしています。
しかし支持基盤は弱く、序盤調査では宮内氏らと同様に支持が広がらず苦戦が伝えられています。知名度向上のためメディア露出やSNSでの情報発信にも努めていますが、現在のところ当選ラインには遠い状況です。
そのほか、NHK党(現・政治家女子48党)の後藤朋子氏、地域政党チームみらいの稲原宗能氏、そして日本改革党の高杉保次氏(※保次=やすじ)といった諸派・無所属系候補も立候補していますが、いずれも支持はごく限られており「厳しい戦い」と報じられています。これらの候補は政見放送やネットを通じてそれぞれの主張を展開しているものの、現実問題として当選圏には絡んでいないと見られます。
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政党支持率の変動と有権者の動向
今回の選挙戦の背景には、国政レベルでの政党支持率や政権への評価の変動も影響しています。岸田政権は長引く物価高や旧統一教会問題などで支持率が低迷し、主要メディアの世論調査でも内閣支持率は20%前後まで急落しました。
NHKの最新世論調査では岸田内閣の支持率は21%と就任以来最低を記録し、不支持は大きく上回っています。こうした与党不振の空気は北海道にも及んでおり、自民党への逆風となっています。実際、道内でも「与党離れ」の傾向が見られ、自民2人目の岩本氏が苦戦する一因ともなっています。
一方、野党側の支持率にも変化があります。立憲民主党は依然として野党第一党ながら支持率は一桁台に低迷し、国民民主党や日本維新の会との差別化に苦労しています。
しかし北海道では立憲への根強い支持層が残っており、勝部氏が無党派層からも一定の支持を得て優勢に立っています。また、日本維新の会は全国的に支持を伸ばしつつありますが(直近の参院選比例では立憲を上回る得票を得た地域もありました)、北海道では今ひとつ浸透せず、オカダ氏の苦戦に現れています。
共産党は志位委員長の長期体制や党勢の頭打ちもあって支持離れが指摘され、支持率は低下傾向です。その影響もあってか、宮内氏も前回得票(約26万票)を下回る懸念があります。
新興勢力では参政党が2022年参院選で比例約4%の票を獲得し注目されましたが、その後の各種世論調査での支持率は1~2%台に留まっています。
ただ固定ファン的な支持者が存在し、北海道でも田中氏が侮れない票田を持っていることが今回浮き彫りになりました。またNHK党(政治家女子48党)は党そのものの支持率はごく僅かですが、公示直前にガーシー元議員の除名事件など話題を提供したことで名称変更も含め一定の知名度はあります。
しかし後藤氏個人の支持にはつながっていないようです。
総じて、与党自民の支持低下と野党側の分散が同時進行する中で、有権者の選択肢は増えています。特に都市部の無党派層では「自民には不満だが立憲や共産でもない」という票が維新や国民、参政党へ一部流れており、それが岩本氏の苦戦や鈴木・田中氏の台頭につながっています。
一方で、従来からの保守層・革新層の地盤も根強く、高橋氏の盤石さや勝部氏の安定した支持に表れています。
SNS上の動向を見ると、候補者本人や支持者による情報発信・論戦も活発です。特に先述の鈴木雅貴氏はTwitterやYouTubeを駆使し若者への訴えを強化しています。
また、自民の高橋氏も公式FacebookやInstagramで政策アピールを行い、旧来型の後援会組織と併せてネット支持層の取り込みも図っています。一方、元北海道議で保守系論客として知られる小野寺まさる氏(日本保守党)はX(旧Twitter)で約6万8千人のフォロワー(※2025年7月時点、小野寺氏公式アカウントより)を有し、ネット上の発信力では他候補を凌ぎます。
もっともSNS上の支持の盛り上がりがそのまま得票につながるとは限らず、小野寺氏の陣営も現実の支持拡大には苦心しているようです。選挙全般について言えば、ネット上には真偽不明な情報やフェイクニュースも飛び交い、それに対し新聞・テレビ各社がファクトチェックを行う場面も見られました。有権者はSNSで積極的に情報収集しつつも、最終的には候補者の実績や主張を冷静に見極めようとしている印象です。
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予想投票率と今後の見通し
2025年参院選・北海道選挙区の予想投票率はおよそ52~55%程度と見込まれます。直近の2019年参院選における北海道選挙区の投票率は53.76%で、全国平均48.8%を大きく上回りました。
今回も依然として関心の高い接戦区であることから、投票率は全国水準(専門家がAI予測した全国投票率は約48.3%)より数ポイント高い五割強に達する可能性が高いでしょう。
実際、序盤の期日前投票の状況でも前回並みかそれ以上の動きが報じられており、有権者の関心は決して低くありません。また公示後に発覚した大物候補の不祥事など特段のネガティブ要因もなく、天候に恵まれれば投票率50%割れの低調にはならないと予想されます。
とはいえ、投票率向上のカギを握るのは無党派層の動向です。今回の情勢調査で「まだ投票先を決めていない」が全体の4割近くにのぼったことは既に述べた通りで、彼らが直前に投票所へ足を運ぶかどうかが投票率を左右します。
仮に無党派層の多くが棄権すれば50%前後にとどまり、逆に最終盤に争いが盛り上がり「一票を投じよう」という機運が高まれば中盤予想を上回る可能性もあります。各陣営も期日前投票の呼びかけや当日動員に力を入れており、わずかな差で明暗が分かれる選挙区だけに最後まで油断できない状況です。
総合的に見て、参院選2025北海道選挙区では「自民1(高橋)・野党系2(勝部、鈴木)」の議席配分になると本稿では予想します。最大争点の3議席目について、自民党は2議席独占を目指しますが、そのシナリオには黄信号が灯っています。
前述のように岩本氏の劣勢が最後まで挽回できなければ、自民党は高橋氏のみ当選にとどまり、代わりに野党勢力からもう1議席(国民民主の鈴木氏)が入る公算が高まります。
もっとも残り10日余りの選挙戦では情勢の変化も起こりえます。高橋・勝部両氏の優位は堅そうとはいえ、3番手グループの岩本氏・鈴木氏・田中氏の争いは僅差であり、情勢が僅かな要因で入れ替わる可能性があります。各候補とも「最後のお願い」に全力を尽くしており、有権者も直前の訴えに耳を傾けています。
投開票日当夜には、熾烈な票割りの結果が明らかになります。前回2022年の北海道選挙区では深夜まで開票がもつれ、最後の1議席が僅差で自民新人に転がり込む劇的な展開となりました。
今回も接戦が予想され、開票終盤までは当落ライン上の攻防から目が離せません。道内有権者の選択が「自民2議席守り切り」となるのか「野党系2議席奪還」となるのか、あるいは第三極が台頭するのか――。7月20日の投票日、北海道から届けられる民意の審判に全国の注目が集まっています。