予想投票率:約62%(前回並み)
理由:山形県は国政選挙の投票率が全国トップ級であり、2019年参院選は約50.2%と全国平均(48.8%)を上回り、2022年も61.87%で全国1位。今回も激戦区となり関心が高く、天候不順等の要素がなければ60%台前半の高投票率が見込まれる。
2025年参院選・山形県選挙区の情勢を、候補者や政党の動きをもとに詳しく予測します。
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山形県選挙区の情勢概要
2025年7月20日実施予定の参議院選挙・山形県選挙区(改選数1)では、現職の芳賀道也(無所属)と、自民新人の大内理加を軸に激しい争いとなっている。他に日本共産党新人の三井寺修、参政党新人の佐藤友昭、政治団体NHK党新人の大貫学を加えた計5名が立候補しており、選挙戦序盤から与野党の勢力や支持層の行方に注目が集まっている。
- 現職・芳賀道也氏(67歳) – 元山形放送アナウンサーで、無所属現職の参議院議員。前回2019年の参院選で野党統一候補として初当選を果たした。今回も立憲民主党や国民民主党など野党勢力の支援を受ける(国民民主党は芳賀氏を推薦)。地域課題に根差した訴えと知名度が強み。
- 新人・大内理加氏(62歳) – 自民党公認の新人で元山形県議会議員(4期)。2021年の山形県知事選にも出馬経験があり、今回参院選に満を持して挑戦。与党の組織力を背景に公明党から推薦を受けており、「保守王国奪還」を掲げる。
- 新人・三井寺修氏(45歳) – 共産党公認新人。党県国政対策委員長で、前回2019年は野党共闘のため不出馬だったが、今回は候補者一本化が実現せず自ら立候補。物価高対策や平和憲法堅持、消費税減税などを掲げ、県内全市町村遊説を計画する。
- 新人・佐藤友昭氏(52歳) – 参政党公認新人。山形県出身の実業家で、「政治を国民の手に取り戻す」と参政党のスローガンを掲げる。SNSや街頭で精力的に活動し、若年層や無党派層へのアピールを狙う。
- 新人・大貫学氏(67歳) – 政治団体NHK党公認新人。栃木県出身・在住の農業従事者で、初の国政選挙挑戦。主張はNHK受信料問題に加え「平和憲法の維持」「核兵器反対」など幅広いが、知名度や地縁が乏しく苦戦必至とみられる。
過去の選挙結果を振り返ると、前回2019年参院選の山形選挙区では、野党統一候補だった芳賀道也氏(無所属、新人)が279,709票(50.24%)を獲得し、自民現職の大沼瑞穂氏(当時40歳)の263,185票(47.28%)を約1.6万票差で破って初当選した。このときNHK党(旧称N国党)の候補は約1.38万票(2.48%)に留まった。芳賀氏の勝利は、立憲・国民・社民・共産の野党共闘の成果とされ、当選後は立憲民主党会派に属して活動してきた経緯がある。一方、自民党は過去3回の参院山形選挙区で公認候補が惜敗しており、悲願の議席奪還に向け組織を挙げて臨んでいる。
今回(2025年)は、野党側の候補一本化が崩れる形となった点が前回との大きな違いである。共産党が独自候補の三井寺氏を擁立し、芳賀氏支援に回らなかったことで、共産支持票の行方が焦点となった。共産党は6年前(2019年)、自主的に芳賀氏を支援したが今回は「野党・市民の代表は三井寺氏しかいない」と訴え、独自の主張を展開している。このため、芳賀氏の得票は前回より目減りする可能性が指摘される。しかし、芳賀氏自身は無党派層や保守層にも浸透する知名度があり、国民民主党の推薦や連合山形など労組の支援も受けて、幅広い支持固めを図っている。野党系有権者の多数は依然芳賀氏を支えると見込まれ、共産支持層の動向次第ではあるものの、依然芳賀氏が優勢との分析もある。
一方、自民党の大内氏は「保守分裂」などの懸念要因がなく、与党票の結集が期待できる立場だ。公明党が早々に推薦を決定し、自民党支持層以外にも組織票の上積みを図っている。大内氏の第一声には森山裕自民党幹事長(当時)や小泉進次郎農水相ら党幹部・閣僚クラスが応援に駆け付けた。小泉氏は「今回は大逆転劇に乗ってみよう」と聴衆に呼びかけ、大内陣営の士気を鼓舞した。こうした“大物投入”は、序盤情勢で芳賀氏リードとの調査が伝えられる中、巻き返しを図る与党の本気度を示している。大内氏自身も「山形のために政治生命を捧げる覚悟」で臨むと訴え、豪雨災害からの復興や地方の暮らしの守り手として与党の実行力を強調して支持拡大を狙う。自民県連は長年惜敗が続いた選挙区だけに総力戦で、“三度目の正直”での議席奪還を期している。
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支持動向とSNS・世論の反応
SNS上の反応や支持動向にも各候補の特徴が表れている。新人候補の中では参政党・佐藤友昭氏のオンライン発信が目立ち、X(旧Twitter)では2千人超のフォロワーを集め積極的に情報発信を行っている。佐藤氏はネット上で共感を呼びやすい国政批判やスローガンを掲げており、「#参政党」「#山形選挙区」などのハッシュタグを付けた投稿も散見される。若年層を中心に一定の支持や拡散が見られるものの、組織基盤が弱いためネット支持がそのまま票に直結するかは未知数だ。
大内理加氏はInstagramやFacebookなど複数のSNSを駆使しており、インスタグラムで約1,600人のフォロワーを抱える。選挙戦の様子を頻繁に写真付きで投稿し、県内各地での支持者との交流や地元産業(農業・観光)への思いを発信。保守層のみならず幅広い層へのイメージアップを図っている。一方、芳賀道也氏はSNSでの発信頻度は高くなく、フォロワー数も数百人規模に留まる。どちらかといえば伝統的な後援会組織や地上戦(街頭演説・個別訪問)に重きを置いており、高齢有権者を中心に「顔が見える選挙」を展開している。実際、芳賀氏の支持者集会や街頭演説にはこれまで培ったネットワークを通じて多くの県民が集まる傾向が報じられている。
共産党・三井寺氏もTwitter(X)で演説動画を公開するなどオンラインにも取り組むが、党支持層以外への波及は限定的とみられる。本人も「支持者層の拡大にはSNSでの緩いつながりも重要」と述べており、選挙後半までにどこまで浸透できるかが課題だ。NHK党・大貫氏に関してはSNSで目立った活動が確認されておらず、政見放送や限られたメディア露出で訴えるのみとなっている。支持反応もごく一部に留まっており、“泡沫候補”として埋没する可能性が高い。
世論調査では、選挙戦序盤に朝日新聞社が行った情勢調査で「山形など東北3県で野党系候補がリード」と報じられた。この「野党系候補」とは無所属現職の芳賀氏を指し、現時点では芳賀氏が一歩先行、大内氏が追う展開だと分析されている。ただし情勢は僅差で流動的との見方もあり、JNNの序盤分析でも「32の1人区のうち12選挙区で野党系優勢」としつつ、山形については具体的言及を避けるなど予断を許さない状況だ。各種報道からは、「組織の大内 vs 個人の知名度芳賀」という構図の中で終盤まで競り合う可能性が示唆されている。
有権者の声を見ると、農業県である山形だけに物価高やコメ政策への関心が高い。地元紙やテレビ局の街頭インタビューでは、「コメ価格下落への対策を評価する」「地方の暮らしを守ってくれる政党に入れたい」といった声が多く、大内氏が訴える農業支援策と芳賀氏・三井寺氏ら野党系が主張する物価高対策の双方に共感が見られる。また、「政治とカネ」や前政権の課題を挙げて政権批判票を投じるという意見も一定数あり、そうした層は芳賀氏や野党系に流れると予想される。一方で「やはり与党でなければ実現力がない」と現実路線を求める声も根強く、保守王国奪還を願う層が大内氏支持を公言するケースもある。
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予想と分析:当落の行方
以上の情勢を踏まえ、本選挙区の当落予想は以下のように考えられる。
- 芳賀道也(無所属・現職)が僅差で当選すると予想する。序盤情勢ではリードしており、野党統一度合いの低下によるマイナス要素はあるものの、長年の地元密着と知名度でカバーしそうだ。国民民主党推薦や連合など組織票も一定数期待でき、共産支持層の一部も「勝たせたい野党候補」として流入する可能性が高い。前回得票約28万票から多少目減りしても25万票前後は確保し、接戦を制する公算が大きい。
- 大内理加(自民・新人)は惜しくも落選と見る。ただし大逆転の余地も十分あり、予想獲得票は24万票台と僅差での次点と推測される。公明票や保守層の結集で前回自民候補の約26万票に迫る勢いだが、野党現職の壁を崩すにはあと一歩届かない可能性が高い。終盤までに無党派層の取り込みや共産票との三つ巴を制すれば逆転もあり得るため、最後まで予断を許さない。
- 三井寺修(共産・新人)は落選見込み。組織固有票中心で3万票前後と予想する。共産党の県内得票率(比例票ベース)は例年5〜6%程度とみられ、それがそのまま反映される形だ。芳賀氏との競合で支持を伸ばしづらく、供託金没収ライン(得票率10%未満)を超えるかが焦点となる。
- 佐藤友昭(参政・新人)も落選濃厚。新興政党の挑戦であり、一部熱心な支持者はいるものの浸透不足は否めない。2万票程度(得票率約3〜4%)と予想され、当選圏には遠い。参政党の主張やSNS戦術がどこまで地方で支持を得られるか、今後への布石となる戦いと言える。
- **大貫学(NHK党・新人)は落選確実。前回同党系候補と同程度の1万票前後(得票率2%前後)**を獲得するとみられるが、議席には全く届かない。選挙戦でも目立った活動がなく、他候補への影響も限定的だろう。
総合的に見ると、現職の芳賀氏が辛くも競り勝つ公算が高い。ただし大内氏も最後まで猛追すると予想され、得票差は僅か数千〜数万票程度の接戦が予想される。与野党の意地がぶつかり合う「激戦区・山形」の名に相応しい結果となりそうだ。
予想投票率は前述の通り約62%(60〜63%程度)を見込む。山形県は近年、参院選・衆院選を通じて全国トップの高投票率を維持しており、今回も有権者の関心は高い。現職と有力新人の一騎打ちムードが盛り上がっていることや、各陣営の組織戦動員も奏功し、大きな事件・災害がない限り前回並みの水準を維持するだろう。
今後、選挙終盤にかけて情勢がどう動くかは、共産・三井寺氏の得票動向や無党派層の判断次第と言える。与党勢いの地方への波及や物価高・政治不信など逆風要因が最後に響く可能性もある。開票日当日まで目が離せない山形県選挙区だが、現状の分析では芳賀道也氏の当選を有力視する。